薬害肝炎救済法の延長について

薬害肝炎救済法は時限立法ですが,まだまだ救済を受けられていない被害者が多く存在します。
救済法の延長は急務です。(NHKニュースより)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170724/k10011071241000.html
薬害肝炎救済法 給付金の請求期限の延長を要請へ(7月24日 5時19分)

血液製剤の投与によってC型肝炎ウイルスに感染した患者などに国が給付金を支払う薬害肝炎救済法が来年1月に給付金の請求期限を迎えることについて、患者や支援者で作る団体は、「まだ救済されていない人が大勢いる」として、24日、厚生労働大臣に期限の延長を要請します。

薬害肝炎救済法は、平成6年以前に手術や出産などの際、止血のために血液製剤のフィブリノゲンなどを投与されたことが原因でC型肝炎ウイルスに感染した患者や遺族を救済する法律です。症状に応じて1人当たり1200万円から4000万円の給付金が国から支給されますが、来年1月に給付金の請求期限を迎えます。

これについて、C型肝炎の患者や弁護士などの支援者で作る団体は、まだ救済されていない人が大勢いるとして、24日、都内で塩崎厚生労働大臣と面会し、請求期限の延長を要請します。血液製剤を投与されC型肝炎ウイルスに感染した人は1万人以上と推計されていますが、給付金が支給されたのは2200人余りと4分の1以下にとどまっています。

厚生労働省によりますと、認定を受けていないのは、カルテなどが見つからず血液製剤の投与が証明できない人や、投与されたことを知らないか覚えていない人が多いということです。要請を行う薬害肝炎全国原告団の山口美智子代表は「国は請求期限を延長し、感染者を救済する責任を最後まで果たしてほしい」と話しています。

薬害C型肝炎問題とは

国が給付金の支給対象としているのは、平成6年までにウイルスが混入した血液製剤を投与され、C型肝炎ウイルスに感染した人です。C型肝炎ウイルスは、感染してもすぐには自覚症状が出ず、気付かないうちに症状が悪化するケースが多く、感染者の70%は慢性肝炎になるとも言われていて、その後、肝硬変や肝がんになるおそれもあります。

C型肝炎をめぐっては、患者や遺族が国や製薬会社に対して損害賠償を求める裁判を起こし、国は平成20年に、甚大な被害が生じその拡大を防げなかった責任を認めたうえで謝罪し、この年、給付金を支給する薬害肝炎救済法が成立しました。

当初は平成25年の1月が給付金の請求期限とされましたが、請求できていない患者が大勢残っていたため5年間延長され、現在は来年1月が期限となっています。血液製剤の投与が原因でC型肝炎ウイルスに感染した人は、推計で1万人以上とされ、このうち、給付金の対象に認定されたのは2200人余りと4分の1以下にとどまっています。

厚生労働省によりますと、血液製剤の投与を証明するには、当時のカルテなどが必要となりますが、保存期間が法律で5年と定められているため、すでに破棄されていたり、残っていても病院の調査が進んでいなかったりして確認できないケースが多いということです。

名古屋大学病院の自主調査

一部の病院では、今も、血液製剤を投与された患者がいないか自主的に調査を続けています。名古屋大学医学部附属病院では、6年前から専門のスタッフを設け、院内に残る膨大な数の患者のカルテを一つ一つ調査しています。カルテは、紙で残っているものやマイクロフィルムに保存し直したものがあり、これまでにおよそ6000人分を調べました。その結果、147人の患者が、フィブリノゲンなどの血液製剤を投与されていたことがわかりました。

病院は、こうした人たちに通知を出し、詳しい検査を受けるよう呼びかけたところ、これまでに19人がC型肝炎ウイルスに感染していることが確認され、給付金が支給されたということです。しかし、患者のカルテはまだおよそ3000人分残っていて、国の給付金の請求期限となる来年1月までには調査が終わりそうにないということです。

名古屋大学医学部附属病院医事課の小林晋係長は「病院の使命として、感染した可能性のある患者全員に通知を届けたいと思っているが、限られた人員では期限に間に合わず、法律の延長を望んでいる」と話しています。

調査で感染が判明した患者は

東海地方に住む67歳の男性は、5年前に名古屋大学医学部附属病院から通知を受けるまで、自分が血液製剤を投与されていたことに全く気付かなかったといいます。

男性は、30代のときに受けた心臓手術の際、止血のために血液製剤を投与され、C型肝炎ウイルスに感染していました。感染が明らかになり、男性は給付金を受け取ることができたほか、検査のあとすぐに治療を受け始め、肝硬変や肝がんなどへの進行を抑えることができ、他人にウイルスを移すことはなく、日常生活にも支障は出ていないということです。

男性は「自分が、まさかC型肝炎ウイルスに感染しているとは思いもよらなかったので、通知がなければ気付かずに病状が悪化していたと思う。病院には感謝している」と話しています。

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